日本の伝統工芸・漆器 うるし工房 錦壽(山岸厚夫)
 
 
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山岸厚夫
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作り手・山岸厚夫

山岸厚夫の漆の話

今まで国内でも数回以上、NYでも3回 漆の話をして来ました。毎回録音しておけばよかったのですが全くそんなことは考えていなかったので、その時の思いつくまま話してきました。
最近 東京店のスタッフまたは当工房のスタッフに説明、またワークショップ参加の方々に漆の基本的な事から話しする機会が連続してありましたので、ネットでも読んでわかるように書きたいと思い、書く事にしました。

【漆は漆の木から採れる樹液】

漆というのは漆の皮と幹の間から採れるのです。人が怪我をすると血液の中のキズを治す成分が出てきて固めキズを治して行きます。それと同じなんです

漆の木に最初 長さ2cmぐらいのキズをつけます、すると漆の木はそのキズを治そうとしてそのキズに治す成分が集まってきます、それが4日間かかるのです、その集まった頃に2cmのキズつけた位置から2cmほど上の所に3〜4cmぐらいのキズをつけて、そのキズから出てくる液体を採ります、この液体が漆です。

キズから出た時は乳白色をしていますが、空気に触れてすぐにビール瓶のような茶褐色の漆になります。
この採ったままの漆を生漆(きうるし)と言います

この生漆は木固めに使ったり下地に使ったりします

この生漆は水分を多く含んでいるので、昔は太陽の光にあてて、今は室内で電灯の熱などで温めながら攪拌します、すると水分が蒸発することと、混ぜることにより品質が均一になり、漆の質が高まります。

このようにクロメ、ナヤシとよぶ工程をしたものが素黒目(すぐろめ)漆といいます。透きの素黒目と黒の素黒目があります

この漆は中塗りとか蝋色仕上げをするときに塗ります、私のところではすべて素黒目漆を使用しています。

上塗り用には朱合(しゅうあい)漆と言って透明に近い漆とか、上塗り用の黒も塗立(ぬりたて-艶が高い)、艶消し黒、半艶消しなどあり、塗り師の要望で漆屋さんが色々ブレンド、工夫して作ります。

他にも梨地漆とか春慶漆とか色々ありますが、それは要望に応じて漆屋さんが作ります

【漆の性質とは】

漆は塗料など異なり、酸素を取り込み固まるのですが、水分をともなって酸素を吸うので湿度がないと漆は固まらないのです。ですからムロなどに入れる訳です。

固まった後も呼吸しています。同じく水分をともなって酸素を吸収しているのです。

漆は100年後でも1000年後でも呼吸しており、その分子交換の量が少なくなるだけであり、呼吸はしています。ですから何年後でも漆特有の艶があるのです。

漆は時とともに大きく二つの変化があります、ひとつはより硬くなっていくということ、より透明化することです

透明化するとは黒漆は茶褐色になろうとします、骨董屋さんで黒というより茶色っぽい膳などを見たことがあると思いますが、それは最初黒塗りだったと思います、何十年も経つと変化がわかります。

また朱色など色漆の場合、顔料の色の変化はしないのですが、漆と混合して色漆を作った時は漆は透明でなく茶褐色なので色は黒っぽいというか濃い色なのですが、
時とともに漆が透明化していくので色漆の色が明るくなって行きます。

二つ購入して一つは使い、一つは箱に入れたままですと使っている方が色が明るくなるのがよくわかります。漆器は箱の中に入れておくより、使って適度な水分を与えたり空気に触れる方がより硬くなるし長持ちします。どこの家にもおじいちゃんの時代の漆器が納戸などにしまってありますが、出してみると、もうすでにヒビが入っているものも多いと思います。

使えそうな漆器はすぐ使いましょう

【日本産の漆と中国産の漆】

よく質問されます、ほとんどの皆さんが知らないことは、現在 日本産の漆を採っている人は何人おられるのか

ということです。 なんと20人ほどです、それも70歳前後の方がほとんどです。

日本の漆は危機的状況にあると言ってもいいです。

現在 日本で作られている漆器の99%が中国産の漆で塗っています。

数年前から大量に中国で日本の漆器のコピーと思われる商品が輸入されてバーゲン売り場や観光地などで売られているので、また最近、中国製造の食品の問題が大きいのでイメージはかなり悪くなったと思いますが、漆に関しては今、中国から輸入がストップしたら日本の漆器関係の製造会社は生産がストップしてしまうと思います

私どもでは今 10年計画で漆の木の植樹を計画しており、今年の冬までに漆の苗20本を畑に植えて、来年春には私の山に50〜100本植える予定です。

日本の漆と中国の漆の違いですが

分子構造は同じです。漆の採り方の違いからでしょうか、私が感じるには日本産の漆の匂いがいいんです
また日本産は漆成分の本質であるウルシオールの含有量が多いので漆のハリとか硬さ、それに漆が完全に硬化するのが中国産より早いです。透明度も高いです。

いい所が沢山あるのですが、人件費の違いでしょうか、日本産漆は中国産漆の約10倍ぐらいの価格です。
同じ塗りでも漆の原価がこれだけ異なると売価はどれぐらいになるでしょう

【木製漆器は海外使用は大丈夫?】

私は100%大丈夫とは言えません、やはり国によっては非常に乾燥しているので木製の場合ヒビ割れが多いのも事実です。湿度の高い日本だから漆器は合っているのかもしれません

世界の博物館の漆器を修理した方に聞いても、個人的に聞いてもヒビ割れは多いです。

多くの奥様と話すると、木製より母体が樹脂製のものが安全という声が多いです。

ですから私は海外使用向けに木粉入りの樹脂を使い、本漆で塗り重ねた漆器を開発、発売しようと考えています。



有限会社 錦壽
(ゆうげんがいしゃ きんじゅ)


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