今年NYで個展をしてわかった事


(Felissimo Design House 5F、11/28〜12/24)

平成17年3月、6月、10月、12月とニューヨークで4回も個展する機会を与えて下さり、関係者の方々に感謝しております。 
 沢山のことを学びましたが、その中で私にとって一番大きなことを話したいと思います。
私は小さい時から世界に羽ばたきたい、仕事で世界中を飛び回るビジネスマンになりたいと夢持っていました。
小学生の時からアマチュア無線(世界の人々と話が出来る)に興味を持ち、免許取得の勉強を猛烈にしたほどです。
(高1の時、電話級、高2の時に2級を取得、JA9DQY)
昨年の11月にNYのギャラリーから個展依頼があった時、大変嬉しかったし、行ってみようと思いました。そして今年、
回を重ねる事に色々になことを知ることになりました。
まず、ニューヨークは乾燥しているので日本から持ってきた昔からの漆器はヒビ割れするとか、美術品の修復を世界の美術館でしてきた方も
どこの美術館も日本の漆器が粉々にひび割れしていくがどうしたらいいのかの相談や修復依頼が多いとの話を聞きました。
 もちろん、それまでも多くを耳にしていましたが、実際に多くの方々の口から聞いたり、実際に肌で乾燥していることを体験するとより実感がこもってきました。
漆の科学的研究で有名な明治大学の工学博士の宮腰教授の研究室に行き、色々話を聞いたところ
、漆の木はアジアにしか生息しないが、ベトナムの漆はベトナムでしか乾かない、日本で乾かすためにはベトナムと同じ高温多湿の状況をつくると乾く、
タイの漆も同じことが言えるということなのです。
日本も湿度の高い国です、漆器は湿度を伴って酸素を吸い、その呼吸で漆は固まります、固まった後も呼吸しています。
漆の乾燥に湿度が必要でありますし、また漆器は湿気を吸収する性質ですので、腐りやすいものを腐りにくくしているとも言えます、
実際、抗菌効果もあり、私の実験では漆塗りのフタ付きの吸物椀でごはんを入れて、となりには陶器のフタ付きにごはんを入れておきます、
4日間ほど経ちますと陶器の器の中のごはんにカビが生えてきます、しかし漆器の中に入れたごはんは1週間近くカビが生えません。
(注…ウレタン塗装の漆器でなく、漆を手塗りしたものがイイ)

つまり私は日本の漆器を世界にドンドン販売したい夢を持っていましたが、今は世界に漆器を紹介するための個展や展示会はしますが、
本当に好きな方へのみの販売にしようと考えています。
そして、より充実すべき仕事とは、漆の木が生息し、工芸が生まれて使われているアジア圏での漆と漆工芸品の研究、商品開発に
集中研究していこうと思っています。世界中にも漆器に興味ある方、欲しい方もおられると思われますが、
ぜひ現地、日本に来て購入して頂く、またはネットで購入して頂きたいと考えております。

これは工芸に限らず、食べ物でも同じことが言えると思います、自分の身体にいいベストの食べ物とは?
それは自分がオギャーと生まれた場所に近いところで採れる食べ物です。
この宇宙は、この地球上は素晴らしいところです、自分の身の回りにすべて用意されているのです。
暑い地域の食べ物には身体を冷やす食べ物が多いです(たとえばバナナ)
ですから、寒い地方の方が暑い地方の食べ物を食べるとより身体を冷やすので体調が狂うわけです。
今は世界中の食べ物が手に入る時代です。
 しかし、自分の身体にとってベストの食べ物は何かということを頭に置いた上での食材を選んで頂きたいと思います。
病気も同じことが言えます、地球上で起きている病気は地球上にそれを治す薬も存在していると言えます。
漢方薬の智慧も素晴らしいと思います。現代科学では読めないことは沢山あると思います、

話はいろんなところに飛びましたが、つまりはその地域はその地域でだから素晴らしいという認識と
大きな世界と自分の住む地域を見つめながら仕事も生活もしていこうと考えています。

平成17年12月23日                                  山岸厚夫

追って (平成19年6月30日に思うこと)
2年前にNYで個展をさせて頂き、上記のように感じましたが、今、色々な思いが頭をよぎり、アジアでしか
生息しない漆であるがゆえにヨーロッパの人にも憧れられ、ヨーロッパにわかっているだけでも5箇所以上の
漆器工場が存在していた過去があり、大きいドイツの工場などは400人もの従業員がいたというすごい規模、
東京芸大の先生方が調査の上にわかったことで、当時の従業員(高齢の方)とのインタビューや当時の工場の
の図面も入手され、私は何回かの講義を聴いて驚きました。
なんとか、今後、日本の漆器を再び世界中の皆さんを魅了したいと夢見るようになりました。
そして、毎日、自由な感覚の漆器を試作中です。                 山岸厚夫