緒形拳さんとの出会い

今日朝(10/7)のニュースで亡くなられたことを知りビックリしてます。

、一度だけお会いした時の事を思い出しました。

 

何年前かは覚えていませんが、緒方拳さんがよく行かれる山代温泉の女将さんが当工房に来られ

いくつか作品を買って下さいました。


ある日、緒方拳さんが旅館に来られた時、買って頂いた作品の一つの荒挽根来の盛鉢に料理を

盛って夕食に出された所、

彼は無言でジーッと見ていてかなり長い時間、食べられないで器を見られていたそうです

 

そして、この作品はどなたが作られたのですかと女将さんに問われ、説明されたそうです。

あまりに気に入られた様子だったので,お帰りの時、その盛鉢を差し上げたそうです

 

その後、女将さんから私に電話があり、緒方拳さんが漆塗りをしたいそうなので、工房に2ヶ月

ほど滞在して漆塗りを教えてもらえないだろうかとの話がありました。

 

でも、その時、工房の改装工事をしており、今2ヶ月間は仕事ができないのです、その後でしたら大丈夫です

と話したのですが、時間のご都合がつかなくて、結局来られませんでした。

 

ある日、私が東京出張の朝、新聞を見ると緒方拳さんの個展が三越本店であるとの記事を見て

東京に行ってから個展の会場に行きました。

 

陶器に書が書かれており、もしかしたら漆で書を書きたかったのかなと思いました。

 

せっかくですので、会場のスタッフの方に本人は今日おられるのですかと聞いたところ。「いらっしゃいます」

との事でしたので事情を説明してお会いできたらとお願いすると、

 

どうぞ奥の部屋に来てくださいと言われ,奥の机に座ってとファンの方のような女性二人とニコニコとお話されていました。

 

 こんにちは漆器屋の山岸厚夫と申します、この前は工房が使えなくて申し訳ありませんでしたと

話して挨拶しますと、

 

「素晴らしい作品を作っておられますね、すごいですねぇ」と言って下さいました。

もう少し色々話しようかとも思いましたが、他の方もおられるので長話はせずに、

 

それじゃまた機会がありましたら工房に来て漆塗りして下さいと言ってお別れしました。

 

心よりご冥福をお祈り致します

 

山岸厚夫