私が根来塗りを作るようになった、もうひとつの理由


私は以前より、骨董屋を見て回るのが好きで、東京に行くと青山の骨董街をよく歩きました。
ある時、根来の椀に出会い、その椀に魅せられ、欲しくて店主にたずねました。
「30と書いてあるのは、いくらの事ですか?」と聞くと
「30万円だよ !」 と店主は、当たり前のように答えました。
「一個、30万円もするのですか?」と思わず私は叫んでしまいました。
帰りの新幹線の中で、フッと思いました。
「古いものがそんなに高いのなら、 新しく作って、あの古い感じが、あの雰囲気が出ればいいのになぁ」
そうだ!!私は漆器屋なのだ。自分が作ればいい。
自分が欲しいものを、欲しい雰囲気の漆器を作ればいいのだ。!!
それから、作り始め、現在に至っています。 

山岸厚夫