[2001/4/6]
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■2 北陸 美の達人2 越前漆器職人:錦壽の山岸 厚夫さん
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越前漆器伝統産業会館は、小雨まじりだったこともあって、九谷陶芸村
よりさらに寂しく見えました。
ここでも客は私1人、2階の展示室の電気は消えており、私がつけて回る
ようなありさまでした。
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気を取り直して、そこでいただいた漆器工房マップを片手に、訪ね歩い
ててみることにしました。
あまりに情報が少ないのですが、古い民家を改造してギャラリーにした
という工房、錦壽を訪ねてみることにしました。
一番、山奥にあるその工房に着き、引き戸を開けると、ギャラリーとい
うより、普通の民家でした。そして誰もいません。
大声で数回叫ぶと、やっと、社員とおぼしき女性が現れましたが
「店主は、数件先の工場にいるから行ってみてくれ」とのこと。
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果たして現れたのは、どてらにジャージ姿の山岸 厚夫さんでした。
あとで、山岸さんが、高島屋などの百貨店でも作家名入りで売られ、楽
天でも有名な漆器作家だと知るのですが...
正直言って「とんでもないところに来てしまった」と思いました。
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しかし、通された民家の三階は、心地よい屋根裏空間でした。
そして、そこに無造作に並べられた器は、お殿様ごのみの表面ツルツル、
金箔キラキラの類ではなく、ゴツゴツとして、漆の刷毛あとも雄雄しい
ユニークなものでした。
昨日、久田さんからお聴きした「作家が作った生活雑器」という言葉が、
すぐ頭に浮かびました。
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「あのマップを見て、人が来るなんて珍しい」そうで、
どこから来たか、何で福井に来たか、矢継ぎ早に聞かれたので、正直に話
しますと......
「実は、あのセミナーに参加しようと思っていた。ちょうどよかった。」
いきなり山岸さんは、PCを取りに走って、急遽、にわかネット相談所に
なってしまいました。
@ @ @
自分のサイトを説明しながら、山岸さんの口からは、器への想いがほとば
しり出ます。
10年ほど前から、木地そのままに漆を刷毛で塗る、豪放磊落ながら、どこ
か繊細さを併せ持つ器を作り始めたそうです。
もちろん地場の業界では異端扱いされたとのこと。
当然、旧来のチャネルでは取り扱ってくれるはずもなく、自ら地方の百貨店
などを回ったそうです。
そんな直接売って歩く様を見て、「山岸は作家ではない、商人だ」と、
さらに揶揄されたとのこと。
しかし、3年目ぐらいからファンがつき、百貨店担当者に問い合わせがいく
ようになったそうです。
そして、かの家庭画報などで紹介されてからは、百貨店の方々がここまで
訪ねてきてくれるようになったそうです。
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かくして地位を築きながらも、なぜ、いちはやくネット販売にも出たか。
それは、山岸さんの理想が実現できるかもしれないからでした。
自分の器を愛してくれる人に直接販売し、誰が愛用してくれているかを知り
たい!
@ @ @
それに対して、私ごときが助言できますことは、ごくごく当たり前のもので、
しかも山岸さんも気づいているに違いないことでした。
なにしろ、私は、山岸さんの情熱的なお話にすっかり感化され、もはやどの
器を買うべきか悩んでいるのですから、話は簡単です。
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すでに、山岸さんの器を愛用している人、あるいは、よりよい器を日々使って!
心のぜいたくをしたい人だけに対して、
今、この場所に居て、直接、山岸さんの商品への熱い想いを聴くのに等しい
個別のメッセージを発信することこそが一番でありましょう。
現在は、メールマガジンと、そこで参照された商品やトピックスに関する画像
つきWEBとの組み合わせということになるでしょうが、
いずれ、ビデオメールや、ビデオチャットということになるでしょう。
そこにたどり着くまでに感動した、越前の里山を彩る四季の風景も添えながら。
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それを考えますと、アメ横のごとき楽天よりも、知る人ぞ知る限定メールと限
定サイトの方が、ありがたみがあります。
いずれ、生産量に見合うファンが出来たら、検索しても引っかからない非公開
サイトにしてもいいかもしれません。
山岸さんがおっしゃるように、たくさん作ることも、大金もちになることも、
目標ではないわけですから、違いのわかる人だけとの私信でいいわけです。
「読むに読めない家庭画報+買うに買えない器たち」
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話は弾み、自ら作ったギャラリーがあること、そこには、風変わりなアーティスト
やミュージシャンが、なぜか集まることなども伺いました。
そこでは、山岸さんが作った器で、飲み、食べ、語らうそうです。
その活動は、マニアックな雑誌「銀花」でも紹介され、そこに集う作家12人展が、
銀座三越でも開かれたらしい。
でも、何より良いのは、子供たちの情操教育になることだそうです。
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さて、すっかり時は過ぎ、地元の美味しい「おろしそば」もご馳走になり、お土産に
器を買って帰ろうと思ったのですが.....
どれを買ってよいか悩みます。
当初は、女性の踵からふくらはぎの曲線に触発されて作ったという若いころの作品に
も惹かれましたが.....まてよと思い、尋ねました。
「山岸さんとご家族はいつも、どの器で食べているのですか?」
@ @ @
にんまり笑って手にとった器は、何の変哲もない小ぶりの飯椀と汁椀でした。
「この飯椀は軽い。子供たちは自然にこれを選ぶ。」
「浅めに出来ていて、ごはんの盛りは多く見えるが、量は少ない。
だから見た目の満足感はあるが、食べ過ぎず、太り過ぎないでいい。」
「この汁椀は、少ししか傾けなくとも、最後まで飲める。」
@ @ @
なるほどと思いました。
そして、色は黒と朱があったので、迷っていると....
「私自身は、朝、赤の器を使う。元気が出るから。
そして朱色に白味噌が映える。」
「そして、夜は、黒の器を使う。
しっとりと落ち着いた気分になる。」
そこで、黒と朱の飯椀、汁椀を、2つずつ選んだのです。
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今、その椀を使って、ひと月ほど立ちますが、なるほど軽くて不思議な感覚
なのです。
そして、飯をたいらげ汁を飲み干すと見えてくる刷毛あとを見るたび、
里山の風景と、山岸さんの顔を思い出すのです。
◆越前漆器伝統産業会館
http://www.pref.fukui.jp/kankoushinkouka/institution/institute11.html
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